大阪信愛生命環境総合研究所(OSILES)

論文集「人と環境」(Human and Environment)

Vol. 5 (2012)

2012.8.6


当時者主導型薬物依存症回復施設のNPO法人化をめぐる現状と課題 [論文]
増井麻依子 pp. 1-8 [要約][全文PDF]

障害者自立支援法が当事者主導型薬物依存症回復施設に与える影響
- 当事者施設の法人化を巡る問題点の検討を通して -
[論文]
増井麻依子 pp. 9-16 [要約][全文PDF]

男性看護職者の職業意識と性役割に関する研究 [論文]
増井麻依子・石村由利子 pp. 17-21 [要約][全文PDF]

最近の高血圧の話題 血圧が高いとだめなの? [レクチャー]
足立昌司 pp. 23-28 [要約][全文PDF]


当時者主導型薬物依存症回復施設のNPO法人化をめぐる現状と課題 [論文]

増井麻依子 pp. 1-8

当事者主導型薬物依存症回復施設は、「障害者自立支援法」による政府の方針により、 補助金を得るためにNPO法人格を取得せざるを得ない状況になってしまった。 そのため、短期間で急遽NPO法人の認証を得ていくことになった。 本研究では、4つの当事者主導型薬物依存症回復施設のリカバードスタッフと言われる依存症から 回復した当事者の常任スタッフに直接調査を行い、 得られた情報から問題を検討し、考察していくことを目的とした。 今回の調査研究では、対象である4施設とも「障害者自立支援法」によって 不本意な形でNPO法人化しているが、それぞれが、今後の組織のあり方について独自の考えを持っていた。将来の展望を考えるにあたっては、4施設とも支援組織、支援者のマンパワーが影響しており、当事者主導型のNPO法人の活動にとって支援組織、支援者との関係が組織の運営にとって重要であることが分かった。

Maiko Masui:
The Present Condition and the Subject Involving Nonprofit of Drug Addiction Rehabilitation Centers. .
Human and Environment Vol. 5 (2012)


障害者自立支援法が当事者主導型薬物依存症回復施設に与える影響
- 当事者施設の法人化を巡る問題点の検討を通して -
 [論文]

増井麻依子 pp. 9-16

薬物依存症の回復を支援するNPOは、障害者自立支援法施行の影響を大きく受けている。 薬物依存症者は、精神障害者の一部に分類されている。 彼らに対する回復支援を行う方法として、従来から当事者主導型薬物依存症回復施設があり、 その多くはグループホームでの回復支援を行ってきた。 障害者自立支援法では、このグループホームの事業者になり補助金を得ていくためには、 法人格を有してなければならないことになった。 今回の研究で調査した3施設は全て「障害者自立支援法」によって不本意な形でNPO法人化しているが、 それぞれが、今後の組織のあり方について独自の考えを持っていた。
調査から次の3点が明らかになった。
① 障害者自立支援法施行後グループホームの運営費が、月単位から日払いになったことで。 失敗を繰り返しながら回復していく依存症という病気の特性を踏まえた回復援助ができない。
② NPO法人格取得に伴い、登記に必要な費用など任意団体のころにはなかった費用が発生してきている。 そのため、法律の改正によって施設の運営を困難にさせて行っている。
③ 3施設とも支援組織のマンパワーが影響しており、当事者主導型のNPO法人の活動にとって 支援組織との関係は重要であることが分かった。

Maiko Masui:
Influence which Supporting Independence to People with Disabilities Law Has on Drug Addiction Rehabilitation Centers:Examination of the Problem Involving Nonprofit Organization of Drug Addiction Rehabilitation Centers.
Human and Environment Vol. 5 (2012)


男性看護職者の職業意識と性役割に関する研究 [論文]

増井麻依子・石村由利子 pp. 17-21

本研究の目的は,男性看護師の性役割を聞くことでその性役割腹見を知り, 性役割態度がどのように職務姿勢に影響しているかを明らかにし,検討することである。
研究対象者である男性看護師7名に調査した結果,男性看護師について以下のことが明らかになった。
①男性看護師は家庭と仕事の両立を当然とみなしており,女性の研究同様, 一般男性より性役割へのこだわりは少ない。
②濠庭生活において'性役割地必要とする意見もある一方, 女性の多い職場では女性以上に平等性志向を養いながらも, 家庭においては,日本男性の性役割態度の特性である伝統性志向と平等性志向を 併せ持っていると思われる。
③男性看護師についてもライフサイクルに合わせた教育システムや管理システムの充実が必要である。

キーワード:男性・看護師・性役割

Maiko Masui and Yuriko Ishimura:
Experience Performing Nursing Actions and "Clinical Knowledge" ― Analysis of Experience Performing Two Nursing Actions ―.
Human and Environment Vol. 5 (2012)


最近の高血圧の話題 血圧が高いとだめなの? [レクチャー]

足立昌司 pp. 23-28

日本高血圧学会では、2009年に約5年ぶりに高血圧治療ガイドラインを改訂しました。 今回の講座では、そのポイントをできるだけ分かりやすく説明したいと思います。 ガイドラインとは指標・指針・指導目標のことで、 前回の2004年度版では欧米の成績を利用して作られていました。 ガイドラインに関して、わが国は後発組でしたが 2009年度版でようやく日本人のためのガイドラインが作成されたことになります。 日本人の身体の特性にあった高血圧症の治療方針が決定されたわけです。

Masashi Adachi:
Recent Topics of Hypertension. Why is not hypertension good ?
Human and Environment Vol. 5 (2012)

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